突然我が家にナマコが届いた。
弟のお嫁さんの実家は、和歌山の御坊で民宿も営まれている漁師さん。
弟曰く、お嫁さんと漁師のお父さんと3人で船に乗ってナマコを捕ってきたんだとか。
「半分に切って、ゴーヤみたいに中を取って、塩でヌメリをよく取って、薄く切って、橙絞って食べて〜」
なんともザックリとした説明を受け、いざ、人生初のなまこさばき。
まずは、海水に浸かった、ヤツらをバットに移し、しばし観察。
小さなイボイボと触ると変化する模様、裏面には小さな無数の足らしきもの、
そして口とおぼしきところには、なんと硬い歯があるではないか!
しかし、どこをどう探しても目だけは見つけられなかった。
我はこれを食べるのか?
よく「初めてナマコを食べた人は偉い」なんて聞くが、しみじみその人は偉いと実感する。

釣り雑誌の編集をしていたころは、
十キロを超えるお化けイカをさばいたし、
タコだってサメだって深海の魚だって、食べられるものは一通りさばいて食べてみた。
が、釣りから遠ざかったこの数年の間に、私の感覚は繊細な部分を蘇らせていた。
私はかつて、芋虫やらミミズの類は一切ダメ。
たくさん見てしまった日は、夢でうなされるほどだったのだから・・・。
そして、目の前にあるのは、巨大芋虫的ビジュアルのナマコ。
頑張れワタシ。
弟夫婦とお嫁さんのお父さんが船に乗って捕ってきてくれた、大事なナマコではないか!
びびっていたら失礼じゃないか!
勇気を奮ってぐわし! ぎゃーっ!
動いた? いや、そんなわけないやん。
ぐわし! ぎゃーっ! ボンっ。うわーっ。つるん。
そんなひとりコントを繰り返しているうちに、
かつてタコをガシガシ洗ってさばいていた感覚が戻ってきた。
タコもアナゴもそうだったが、海の生きもののヌメリは、かなりの確率で生臭い。
塩をたっぷり付けて、しっかり何度も洗った。
すると、表面の赤っぽいぬるぬるが取れてきた。
そして気づくと、あんなに大きかったナマコは、半分ぐらいの大きさになり、
ギュッと硬くなっていた。あら不思議。
腹の内側もきれいにゴシゴシ。
薄〜く切って、ポン酢をかけ、
一緒に送ってくれた橙を搾り、
きれいな色の橙の皮は、もったいないので少しすりおろして飾った。
初めてにしては上出来じゃないか?
ひと口、味見。
うわっ、コリっコリやん!
生臭さは全然なく、代わりに不思議と爽やかな香りがある。
橙果汁もいい香り。
橙の皮は苦くて山椒のようなシビレル刺激があるので、
ほんの少し乗せるだけで、少し大人っぽい雰囲気になった。
おいしいぞ、ナマコ。
一度にたくさんは食べられないが、少しずつ、大事にいただきます。
ありがとう! 弟夫婦&お父さん。